きょうというこの日である

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 で、きょうというこの日である。 茂助が風呂から帰ってきたとき、茶の間は真くらだった。いつものとおり縁側から上って、濡れ手試いを釘へかけて、茂助は茶の間へ這入って行って電燈を捻《ひね》った。すると、茂助があっけにとられたことには、例の長火鉢のむこうにお八重が横すわりに崩れ...

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茂助もいい若い者だった

「えんやらや、やれこうのえんやらや――」といったわけで、茂助もいい若い者だった。それで峰吉の光りで、消防のほうでも梯子を受持っていた。十長[#「十長」に傍点]、機関[#「機関」に傍点]、鳶[#「鳶」に傍点]、巻車[#「巻車」に傍点]、らっぱ[#「らっぱ」に傍点]などという消防関係の男たちがしじゅう植...

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植木屋の峰吉《みねきち》

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 植峰《うえみね》――植木屋の峰吉《みねきち》というよりも、消防の副小頭《ふくこがしら》として知られた、浅黒いでっぷり[#「でっぷり」に傍点]した五十男だった。雨のことをおしめりとしか言わず、鼻のわきの黒子《ほくろ》に一本長い毛が生えていて、その毛を浹々《しょうしょう》と洗...

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